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これは、今から約二年前(たぶん2001年)、コラートのパークチョンで起きた本当の事故です。タイに駐在されている方には、記憶に新しい出来事だと思います。 パークチョンは、当ホームページでもご紹介しておりますが、カオヤイ国立公園を有し、タイでも有数の避暑地です。ゴルフ場やリゾートがたくさんあります。 また、市街のはずれには、タイの軍隊の大きな駐屯地があり、タイ人の間では軍の基地としても有名です。 ある日のことです。 何気なくテレビを見ていると、急に緊急ニュースが流れてきました。煙がもくもくと立ち昇っている風景が映し出されました。 ニュースの内容を聞いていると、コラート、パークチョンということばが聞き取れました。まさか、あのパークチョンでテロ事件が勃発したのだろうか。 などど、考えていると、隣のタイ人が、 「爆弾が爆発した」 と驚きの表情を浮かべました。 隣で聞いていた私も、一瞬、何のことなのか理解できずに「ぽかん」としておりました。本当に何が起きたのか、私の想像力では、その場で事件を完全に理解することはできませんでした。 次の日、私はいつものコーヒーショップへ出かけて、早速、今朝の新聞を開いてみました。もちろん、昨日の事件のことが、完全に理解できずに、ずっと頭から離れなかったからです。やはり、相当な大事件らしく、一面トップで紹介されておりました。 要約すると、 パークチョンの駐屯地には弾薬庫があり、たくさんの弾薬が保管されております。しかも、この弾薬の中には、古くなってすでに使用期限が過ぎたものがたくさんあり、誤爆する恐れがあるので、廃棄処理をするために爆弾をトラックに積んでいるときに、兵隊が誤って爆弾を落として、大爆発をさせてしまったそうです。爆弾を積んでいた兵隊は跡形もなく吹き飛んで、付近にいた多くの兵隊さんが死傷したそうです。 ここまでの話しならば、「すごい事故だなあ。」で済みますが、後でタイ人の友だちにさらに詳しい状況を聞いてみると、 この爆弾をトラックに積み込むときに、監督者は誰もいなかった。 監督者(要するに将校さん)は、別のところで昼間から酒を飲んでいた。 弾薬庫は、宿舎の近くにあって、本当は家族も巻き添えになるような大惨事になるところだったが、運良く何かのパーティーがあって、兵隊の家族は誰一人も巻き添えにならなかった。 などど、説明してくれました。 ここまで来ると、「やっぱりタイだよね。」となぜか一人で納得してしまいました。だって、爆弾の処理を兵隊に任せて、将校は昼間から酒盛り、挙げ句の果てに、爆弾が大爆発。他の国なら大問題ですよね。 ちょうど、この大事故のあった後すぐに、パクチョンに行く用事があったので、事故現場を見ることができました。弾薬庫ですから、爆発しても民間人に被害が及ばないように、市街地からは遠く離れておりますが、道路から見えるくらいのところにあります。道路の脇には爆弾の残骸がまだ飛散していて、事故のすさまじさを物語っておりました。 この事故は、新聞でも数日間に渡って報道されましたが、ある新聞のコラム欄に書かれたある記者の意見が、心に残りました。 「世界中に軍隊はあるが、今までにどこか他の国で爆弾を爆発させてしまったという話しを聞いたことがあるだろうか。世界中を探しても、爆弾を誤って大爆発させてしまうような軍隊は、タイ以外には見あたらないのではないだろうか。しかも、今回が初めてという訳ではない、以前にもバンコクの橋で爆弾を輸送中のトラックが事故を起こして、橋ごと大爆発をして、大惨事になったことがあるではないか。」 というような内容でした。タイの軍隊を批評した勇気ある意見に感心して、今でもこの意見が記憶の片隅に残っておりますが、この時、ふと思ったことは、 (この爆弾を爆発させてしまった事故は、初めてではなく、2回目だったんだ。普通の国なら、事故の教訓が活かされて、二度目はないよね。) さらに、ここで、またまた私の癖で、疑問が湧いてきました。 「でも、爆弾には信管があって、それを外しておけば少しぐらいの衝撃では爆発しないよね。」 と。それで、いつものようにタイ人の友だちに聞いてみました。その答えは、 「どうして信管を外すの。外しておいたら、実際に使うときにどこに置いたか分からなくなって使えないじゃないか。」 「え!」 ごく少数の私の回りにいるタイ人に聞いただけですので、このことが真実がどうかは、私にも分かりません。でも、「このような発想をする国民性だけでもすごい!」と感じずにはおれない私でした。 |
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